どうして「電車旅」ではなくて「汽車旅」と呼ぶのか

ブログタイトルで「汽車旅」とうたっていますが、これは煙を吐いて走る蒸気機関車に乗ってみようということではありません。電車より汽車と呼んだ方が気分が盛り上がるからです。

昔は電車と汽車があった

昔は電車と汽車というものは明確に違うものでした。

電車は普段の通勤通学に使うもので、大都市の中でしか走っていませんでした。汽車というと他の都市に向かうためのもので、文字通り蒸気を使って走っていました。したがって、「旅行に出かける = 汽車に乗る」であったのです。

実は汽車かどうかは今でもわかる

今では電車も汽車も区別なく日本中に走っています。ところが、よく見ると昔は汽車だった痕跡がわかります。

座席

電車はいわゆる長椅子、ロングシートになっています。これは乗る人が多く、乗車時間が短いため、立ち客をできるだけ多く乗せるためのものです。

西武301系車内(ロングシート)

ロングシート

ところが汽車は長距離乗ることが前提なので、向い合せのクロスシートになっています。特急や新幹線では回転式のクロスシートが常識ですね。こういった座席で旅行すれば駅弁も食べられるし、旅行気分が満喫できます。

クロスシート

駅間が長い

蒸気機関車は走り出しにエネルギーを大量に必要とします。頻繁に止まったり走ったりしていると燃費が悪いのです。そのため駅はできるだけ少なく作られました。

都市と都市の間では人口密度が低いので、そんなに駅を必要としないという事情もあります。

したがって、普通列車であってもそれなりに飛ばして走ります。都市部の電車では1分2分走って次々駅に停まったりしますが、汽車は5分10分走りっぱなしだったりします。長距離の旅行でもいちいち駅に止まるストレスが少なくなります。

東京と大阪以外のJR

JRの前身である国鉄は、ほぼ汽車専門の企業でした。東京と大阪は利用客が多すぎるために電車も走らせていましたが、名古屋、福岡、札幌などでさえ全部汽車です。(例外的に地方にも電車がありましたが、これはもともと私鉄線だったものを買収したものです)

大都市には電車と汽車が両方走っていた

UTL、SSL停車駅

都会に住んでいると電車も汽車も見ることができます。

例えば東京で言うと東海道線や宇都宮線、高崎線は汽車、京浜東北線や山手線は電車です。東海道線は東京を出ると、新橋、品川、川崎、横浜、にしか止まらないで、途中の駅をかなり飛ばしますね。これは汽車時代のなごりなのです。

思い込みの重要性

そんなこと言われてもそんな些細な違いわからないよ、と思うかもしれません。必ずしもわからなくて良いです。

旅行に出かける目的の一つに、普段の生活を離れてみたい、というものがありますよね。そういう目的を達成するためにみんな電車に乗ります。ところがどうでしょう、その電車というのは普段いやいや会社や学校に行くのに乗っているものと同じです。例えそうだったとしても、これは汽車旅だから、と思いこむことによって日常を忘れることができます。

同じ体験をしても楽しめる人と楽しめない人に分かれる原因は気分の問題です。

今楽しいことをしているんだ、と思っていれば自然と楽しくなってくるような気がしませんか?