あんな
たかく
モバイルSuica対応のスマートフォンを買えば、JR東日本の新幹線に乗ることができます。
普通にきっぷを買って乗るのとは使い勝手がかなり違いますので、はじめての場合はよくわからないということも多いのではないでしょうか。
初めてでも簡単にわかるように、モバイルSuica特急券の要点をまとめました。
モバイルSuica特急券って何?
モバイルSuica特急券とは、モバイルSuicaに対応する機器を使用して、新幹線にチケットレスで乗車できるサービスです。
JR東日本の新幹線全線で利用できるほか、直通運転しているJR北海道の北海道新幹線や、JR西日本の北陸新幹線でも利用できます。
一方、東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線は利用できません。また、新幹線以外の特急列車も利用できません。
端末が一人1台必要です
モバイルSuica特急券を利用するには、利用する人ひとりひとりが対応端末を持って改札を通過する必要があります。そのため、必ず対応端末が必要です。対応端末を持っていない人は一切利用できません。
iPhoneの場合は、iPhone7以降の機種が対応しています。
駅で売っているICカード乗車券では利用できません。
年会費が掛かる可能性があります
モバイルSuica特急券を利用するには、会員登録が必要です。その際に、年会費がかかってしまうケースがあります。
携帯端末 | 登録クレジットカード | 年会費 |
---|---|---|
iPhone | 制限なし | 無料 |
Android | ビューカード | 無料 ただし、ビューカードの年会費あり |
その他のカード | 1,050円 |
Android端末を利用する場合は、1,050円の年会費がかかります。その場合でも、ビューカードで登録する場合は年会費が免除になりますが、ビューカード自体に年会費があります。ただし、ビューカードのうち「ビックカメラSuicaカード」であれば無料にできます。
iPhoneの場合は、完全無料です。
年会費無料でモバイルSuicaを利用するには、iPhoneを利用するか、ビックカメラSuicaカードで登録するかになります。
参考 モバイルSuicaをはじめるモバイルSuica:JR東日本 参考 ビックカメラSuicaカードビューカード乗車券と特急券のセットです
モバイルSuica特急券という名前なので、特急券だけ買えると思ってしまうのですが、乗車券と特急券のセットになります。乗車券と特急券は必ず同区間でセットになっていて、別々にすることができません。
イメージとしては、新幹線回数券を1枚ずつ買えるようにしたようなものです。
自由席と指定席で同額です
新幹線の料金システムからするとびっくりするかもしれませんが、自由席と指定席で料金は変わりません。
定価の紙のきっぷで自由席利用するときの値段と同額か、それ以下の値段になっています。
ただし、隣接駅間では自由席のみの利用となります。
繁忙期、閑散期も同額です
ふつうの新幹線の指定席は、乗る時期によって値段が変動します。しかし、モバイルSuica特急券は年間を通じて値段は変わりません。
基本的に値段は変動しません
モバイルSuica特急券は、多くの区間で1種類の値段しかありません。
ただし、通常のモバイルSuica特急券よりも安く乗れる「スーパーモバトク」というものが利用できる区間が一部あります。
スーパーモバトクは、前日までの購入が必要です。また、払い戻しや乗り遅れの際の制約があります。
(参考) 紙のきっぷ |
モバトク | スーパー モバトク |
|
---|---|---|---|
利用可能区間 | ✅制約なし (全国) |
✅制約なし (対応エリア) |
特定の区間 |
購入可能期間 | ✅制約なし | 乗車前日まで | |
変更 | 1回に限り可能 | ✅何度でも可能 | 一切不可 |
払い戻し手数料 | (2日前まで)560円 (前日以降) 220円+特急料金の3割 |
✅320円 | 割引率と同じ |
乗り遅れ | ✅後続の自由席に乗車可能 または ✅乗車券の払い戻し可能 |
✅後続の自由席に乗車可能 または ✅乗車券相当額の払い戻し可能 |
救済措置なし |
スーパーモバトクの設定区間は以下のページを見てください。
参考
スーパーモバイルSuica特急券「スーパーモバトク」モバイルSuica:JR東日本
区間を指定して値段を調べることができます。
参考
モバイルSuica特急券の各区間ごとのお値段モバイルSuica:JR東日本
利用のしかた
モバイルSuica自体は、クレジットカードの登録をしなくても利用できますが、モバイルSuica特急券を利用するにはクレジットカードの登録が必要です。
すでにモバイルSuicaを利用して電車に乗っているかたは、何もする必要はありません。
きっぷは乗車の1ヶ月前の10時から、発車6分前まで購入することができます。
発売の1週間前から事前予約することも可能です。
実際に乗車する前に、端末にきっぷの情報をダウンロードする必要があります。
紙のきっぷを発行することはできません。
在来線と乗り継ぐ場合は、在来線の運賃はチャージ額から引かれます。
きっぷの「受取り」とは
モバイルSuica特急券でわかりにくい点として、きっぷの受取という概念があります。
きっぷの受取りというのは、実際に紙のきっぷを受け取るわけではなく、電子データのチケットをダウンロードするという意味です。
なんのためにこの作業が必要かというと、そのときに使用する特急券を1枚に特定する必要があるからです。
モバイルSuica特急券は事前購入することが前提なので、たとえば、行きの分と帰りの分の2枚を買っておくことができます。事前に購入した2枚のうちの、どのきっぷを使って乗車するかを特定するために、同時に1枚しか端末に保存しておけない仕組みになっています。
間違って受け取りした場合はアップロードしてとっておくこともできます。別のきっぷを受け取ると、すでに受け取り済みのきっぷが代わりに預け入れられるようになっています。
参考 受取り・預入れモバイルSuica:JR東日本メリット
駅に行かなくても座席が抑えられる
従来は駅に行ってその場で特急券を買わないと座席を抑えることができませんでした。しかし、モバイルSuica特急券はインターネットを通じて予約することができます。
移動中にスマートフォンを使って座席を確保することができるので便利です。
窓口に並ぶ必要がない
モバイルSuica特急券は、携帯端末で購入し、携帯端末で直接改札を通過することができます。
駅の窓口の行列に並ぶ必要は一切ありません。
当日でも割引可能
モバイルSuica特急券は、通常の自由席と同額か、それ以下の値段で購入することができます。基本的に値段は変動せず、乗車当日でも購入が可能です。
割引額は区間によって異なりますが、1,500円以上割引になる区間もあります。
高くとも定価の自由席と同額なので、指定席利用で考えると少なくとも530円の低減となります。
変更が自由自在
通常のきっぷは、購入したその場できっぷが発券されます。この場合、1回に限って無手数料で他の列車に変更することができます。2度目以降の変更は手数料がかかります。
モバイルSuica特急券で購入した場合は、変更が自由です。他のモバイルSuica特急券に、何度でも無手数料で変更することができます。
ただし、スーパーモバトクは変更が一切できません。
参考 変更モバイルSuica:JR東日本放置した場合は代金の100%が請求されます。
自由席でも割引になる区間がある
この種のシステムでは、指定席では割引になっても自由席は割引にならないというものが多いです。
そんななかでモバイルSuica特急券は、自由席でも割引になる区間があります。
割引額はわずかですが、普通のきっぷと比べて使い勝手が良いのにもかかわらず、安くなるというのは嬉しいです。
定価の指定席よりも530円以上安い場合は、定価の自由席よりも安い区間です。
はやぶさ号等の上乗せ料金がない
通常、大宮~盛岡間で、はやぶさ号や、こまち号に乗る場合は、やまびこ号など他の列車に比べて数百円高い料金になっています。
たかく
ところが、モバイルSuica特急券ではこの上乗せ料金がありません。つまり、やまびこ号に乗ろうが、はやぶさ号に乗ろうが同じ料金です。
列車 | 座席 | 紙のきっぷ | モバトク |
---|---|---|---|
はやぶさ号 | 指定席 | 10,870円 | 9,750円 |
やまびこ号 | 指定席 | 10,550円 | |
自由席 | 10,020円 |
はやぶさ号には自由席はありません。
デメリット
対応する端末が必要
最大のデメリットは、専用の機械が必要だということです。
もともと持っているスマートフォンに機能がついているのなら良いですが、対応する端末を持っていないと利用することができません。
新幹線に乗るためだけに携帯を買い換えるというのも難しいです。
また、複数人で出かける場合でも、一人ひとりが端末を所持している必要があります。
以前はiPhoneに対応していなかったので、二の足を踏んでいた方も多いと思いますが、iPhone7から標準対応になったので、便利になりました。
年会費がかかる場合がある
モバイルSuicaを利用するには原則として年会費がかかることになっています。そのため、年に何回も利用するつもりがないと、わざわざ利用しようと思えないかもしれません。
年会費は1,050円です。
指定席に2回乗ると、少なくとも530円×2の1,060円がお得になるので、年会費のもとが取れます。
ただし、年会費がかからない方法もあります。
まず、iPhoneの方は年会費がかかりません。なぜiPhoneだけ優遇されているのかはよくわかりませんが、後発組なので、関係各所の功労があるのかもしれません。
Androidの場合は、ビューカードで登録すると年会費が免除になります。
携帯端末 | 登録クレジットカード | 年会費 |
---|---|---|
iPhone | 制限なし | 無料 |
Android | ビューカード | 無料 ただし、ビューカードの年会費あり |
その他のカード | 1,050円 |
ビューカードを利用するには、ビューカードの年会費がかかってきます。ただし、ビューカードのうち、「ビックカメラSuicaカード」は、年1回以上の利用で年会費が無料となります。
普段からモバイルSuicaのチャージに「ビックカメラSuicaカード」を使っていれば年会費がかかる心配はありません。
特に事情がない限り、ビックカメラSuicaカードを作って利用するのがおすすめです。
参考 ビックカメラSuicaカードビューカードきっぷの譲り渡しができない
端末が一人1台必要ということとも関連していますが、購入した端末でしか利用できません。
物理的なきっぷが発行されるわけではないので、購入した後で他人に渡したり売ったりすることはできません。
クレジットカードが必要
モバイルSuica自体はクレジットカードを登録しなくても使えますが、モバイルSuica特急券はクレジットカードを登録しないと使うことができません。
ただ、日本国内で発行されたクレジットカードであれば、たいていのカードで使えます。
クレジットカードのシステムを使用したデビットカードやプリペイドカードも使用可能です(一部不可能なものもあります)。
乗車券と特急券を切り離せない
普通のきっぷは乗車券と特急券を別々に買うことができますが、モバイルSuica特急券は、これを切り離すことができません。
「モバイルSuica特急券」という名前からすると、特急券部分だけのものかと思ってしまいますが、必ず同区間の乗車券とセットになっています。
在来線と乗り継ぐ場合は、乗り継ぎ駅で一旦運賃計算を打ち切る形になります。そのため、場合によっては普通のきっぷのほうが安くなることもあります。
特定都区市内制度が利用できない
ふつうの乗車券の場合は、特定都区市内制度というものがありますが、モバイルSuica特急券ではこの制度がありません。
特定都区市内制度というのは、長距離の乗車券になると、発着駅がエリアで指定される仕組みです。具体的には、東京都区内から201キロ以上離れた駅との間の乗車券は東京都区内発着となります。101キロ以上では山手線内発着になります。
モバイルSuica特急券の対応エリア内で特定都区市内制度のある都市は、東京、仙台の二つです。
- 通常:東京都区内→仙台市内
- モバトク:品川→東京、東京→仙台
モバイルSuica特急券を利用する場合は、品川~東京間が別途支払いになります。
往復割引がきかない
普通のきっぷであれば、片道601キロを超える区間を往復する場合に乗車券が1割引きになります。
しかし、モバイルSuica特急券には往復割引がありません。
モバイルSuica特急券と往復割引のどちらが安くなるかは場合によって異なります。
乗継割引がきかない
普通のきっぷであれば、新幹線と在来線の特急を乗り継ぐ時に乗継割引が適用されます。モバイルSuica特急券ではこれが効きません。
乗継割引は在来線の特急料金が半額になるもので、割引額が大きいです。モバイルSuica特急券を使うよりも普通に乗継割引を使ったほうが安くすむ場合もありますので、よく考えて買う必要があります。
学割が使えない
大学生の方であれば学割を使って旅行をする方も多いと思います。モバイルSuica特急券を利用する場合は学割の設定はありません。
学割は乗車券部分が2割引きになります。モバイルSuica特急券よりも学割のほうが安いケースがほとんどだと思います。
ただし、スーパーモバトクが利用できる場合はスーパーモバトクのほうが安いです。
クレジットカードのポイントが貰えない場合がある
見落としがちで、あまり気にしない人もいるかも知れませんが、数百円分損をするかもしれません。
通常、クレジットカードを利用するとクレジットカード側でポイント還元がつくことが多いです。
ところが、ふつうの買い物であればポイントが付くカードでも、モバイルSuicaの利用額に関してはポイント対象外となっていることがあります。お持ちのカードがどのような規則になっているかはカード会社のウェブサイトなどで確かめてください。
えきねっとできっぷを買う場合は、駅で買うのと同じくポイント対象となっても、モバイルSuicaで買うとポイント対象外ということが起こります。
たかがポイントといっても、新幹線に乗る場合は額が大きいので無視できません。
たとえば、東京~新青森で乗ると、モバトクでも15,710円かかります。仮に1%ポイント還元だとすると、157ポイントも取り逃すことになります。
対策としては、モバイルSuica利用額がポイント対象外とならないカードを利用するしかありません。
指定席利用をする場合は、モバトク利用で少なくとも530円は安くなりますので、ポイントはあきらめるのが手っ取り早いです。
自由席利用で、割引額がポイントよりも少ない場合は、えきねっとか指定席券売機できっぷを買ったほうがお得です。
区間 | 定価 | モバトク割引額 |
---|---|---|
宇都宮~郡山 | 4,620円 | 10円 |
大宮~宇都宮 | 3,210円 | 70円 |
例えば、宇都宮~郡山間であれば、4,620円の1%とすると46円分のポイントがつくので、紙のきっぷを買ったほうがお得です。
一方、大宮~宇都宮間は、紙のきっぷでポイントは32ポイントしかつかないのに、モバトクでは70円安くなりますので、ポイントはあきらめてモバトクを使ったほうがお得です。
「ビックカメラSuicaカード」などのビューカードであれば、モバイルSuica利用額に関して1.5%のポイント還元があります。
参考 ビックカメラSuicaカードビューカードまとめ
モバイルSuica特急券を使うと、携帯できっぷを買って、改札にタッチするだけで新幹線に乗ることができます。
さらに、普通に買うよりも安く乗れるのでお得です。
利用するには専用の機器が必要で、少しハードルがありますが、対応機種を持っている人はぜひ使ってみてください。
iPhoneで利用するのがおすすめです。
参考 モバイルSuica特急券モバイルSuica:JR東日本最後に、モバトク、トクだ値、タッチでGo!の3種類の比較表を載せておきます。
モバトク | えきねっと トクだ値 |
タッチでGo! | |
---|---|---|---|
対応区間 | 東日本全線 北海道新幹線 北陸新幹線 |
首都圏の一部区間 | |
制限 | ✅制限なし | 区間に制限あり 列車に制限あり 席数に制限あり |
✅制限なし |
乗車に使うもの | モバイルSuica端末 (スマートフォン) |
紙のきっぷ | 交通系ICカード (Suica、PASMOなど) (モバイルSuicaも可) |
会員登録 | 必要 | 必要 | ✅不要 (ICカードに設定が必要) |
年会費 | 場合によっては必要 | ✅不要 | ✅不要 |
購入操作 | 必要 当日まで※1 スーパーモバトクは 前日まで※2 |
必要 前日まで※3 お先にトクだ値は 14日前まで※4 |
✅不要 |
指定席利用 (G車など含む) |
○ | ○ | × |
自由席利用 | ○ | × | ○ |
割引 | 0~10%程度 スーパーモバトクは 30%程度 |
5~15% お先にトクだ値は 25~35% |
5~10%程度 |
特定都区市内 制度 |
適用しない | ✅原則どおり適用 | 適用しない |
※1:発車6分前まで
※2:前日23時40分まで
※3:当日の午前1時40分まで
※4:13日前の午前1時40分まで
この表のほか、えきねっとで通常のきっぷを買うことも可能です。また、駅で普通に買うこともできます。