第三セクター鉄道って何?鉄道事業者の分類のはなし

鉄道旅行の計画をしていると、鉄道の種類についての知識が必要になることがあります。

その中でも、JR、私鉄などの分類の仕方についての話をしたいと思います。

JRとは

JRは、かつて国が運営していた鉄道を引き継いで運営している会社の集団です。

かつて国が運営していたということで、特別に扱われることが多い上に、営業距離が最大勢力となっています。

JRグループのうち、旅客鉄道を運営しているのは以下の6社です。

  • 北海道旅客鉄道(JR北海道)
  • 東日本旅客鉄道(JR東日本)
  • 東海旅客鉄道(JR東海)
  • 西日本旅客鉄道(JR西日本)
  • 四国旅客鉄道(JR四国)
  • 九州旅客鉄道(JR九州)

これらの会社は、グループと称していますが、資本関係はありません。つまり、国から「協力して運営しなさい」と言われている関係に過ぎません。

なので、実際には協力会社である反面、ライバル関係となっている場面もあります。のれん分けした兄弟みたいなものですね。

このうち、JR北海道とJR四国とは株式の全部を国が保有しているため、特殊会社に分類されます。それ以外の各社は純粋に民営であるといえます。

以前はJR九州も特殊会社でしたが、2016年10月に純民営化されました。

八代駅

JR九州の列車

JR以外は全部私鉄というわけではない

JRとよく対比して語られる存在として、私鉄というものがあります。

私鉄という呼び方が一般的に普及していますが、民鉄(民営鉄道)という呼び方もあります。

中でも大手私鉄と呼ばれるものに以下の15社があります。

  • 東武鉄道
  • 西武鉄道
  • 京成電鉄
  • 京王電鉄
  • 小田急電鉄
  • 東京急行電鉄(東急)
  • 京浜急行電鉄(京急けいきゅう
  • 相模鉄道(相鉄そうてつ
  • 名古屋鉄道(名鉄めいてつ
  • 近畿日本鉄道(近鉄)
  • 南海電気鉄道
  • 京阪電気鉄道
  • 阪急電鉄
  • 阪神電気鉄道
  • 西日本鉄道(西鉄)

私鉄は民間企業が運営している鉄道です。

とはいうものの、よく考えると、JRだって民間企業です。JRと私鉄という対比構造は、JRが国鉄だったころの分類の名残であって、ちょっと不自然な構造になっています。

京急電鉄-浦賀駅

京浜急行電鉄

本当に対比して語られるべきは公営鉄道というものです。これは都道府県や市町村などが運営している鉄道のことをいいます。

例えば地下鉄はほとんどすべてが市営です。

そのほか、路面電車の中には市営のものがあります。

第三セクターとは何か

民営、公営と大きく2つの分類を紹介しましたが、この2つのどちらでもない鉄道会社があります。

それが第三セクターというものです。これは、民間企業と行政が協力して運営している鉄道会社のことをいいます。

たとえば、りんかい線は東京臨海高速鉄道という会社が運営していますが、東京都が大株主となっています。こういった形態で運営されている鉄道を第三セクター鉄道といいます。

ただし、地図記号では私鉄と第三セクターは同じ線種で表示されていますから、見分けがつきません。

このうち、かつて国鉄やJRだった路線が第三セクター会社に移管された例がかなりあります。

旅行などで地方に出かけた際、ローカル線がJR線ではないところは、まずこれだと思ってもらって構いません。

かつて国鉄、JRだった路線を運営する第三セクター会社はこんなにたくさんあります。

  • 三陸鉄道(岩手県)
  • 秋田内陸縦貫鉄道(秋田県)
  • 由利高原鉄道(秋田県)
  • 山形鉄道(山形県)
  • 阿武隈急行(福島県・宮城県)
  • 会津鉄道(福島県)
  • 野岩やがん鉄道(栃木県・福島県)
  • わたらせ渓谷鐵道(群馬県・栃木県)
  • 真岡もおか鐵道(茨城県・栃木県)
  • いすみ鉄道(千葉県)
  • 鹿島臨海鉄道(茨城県)
  • 北越急行(新潟県)
  • のと鉄道(石川県)
  • 樽見鉄道(岐阜県)
  • 明知鉄道(岐阜県)
  • 長良川鉄道(岐阜県)
  • 愛知環状鉄道(愛知県)
  • 天竜浜名湖鉄道(静岡県)
  • 伊勢鉄道(三重県)
  • 信楽しがらき高原鐵道(滋賀県)
  • 北条鉄道(兵庫県)
  • 若桜わかさ鉄道(鳥取県)
  • 智頭急行(兵庫県・岡山県・鳥取県)
  • 井原鉄道(岡山県)
  • 錦川鉄道(山口県)
  • 阿佐海岸鉄道(徳島県・高知県)
  • 土佐くろしお鉄道(高知県)
  • 平成筑豊鉄道(福岡県)
  • 甘木鉄道(福岡県)
  • 松浦鉄道(佐賀県・長崎県)
  • 南阿蘇鉄道(熊本県)
  • くま川鉄道(熊本県)

カッコ内は営業地域を示します。

これらの会社は、営業成績が悪いために国が面倒を見きれなくなり、地元自治体が主導となって設立されたものです。主に、1980年代から1990年代にかけて国の方針のもとに作られました。中には国鉄線として建設している途中に第3セクター方式に転換されたため、国鉄線として営業されたことのない路線もあります。

そのほか、新幹線が新しく開通したために、JRが手放した並行在来線を運営する会社があります。

  • 道南いさりび鉄道
  • 青い森鉄道
  • IGRいわて銀河鉄道
  • しなの鉄道
  • えちごトキめき鉄道
  • あいの風とやま鉄道
  • IRいしかわ鉄道
  • 肥薩おれんじ鉄道

これらの鉄道は県が主導となって設立されたため、原則として県ごとに分かれて運営されています。そのため、会社境界が県境のへんぴな駅となっている所があります。

肥薩おれんじ鉄道-川内駅

肥薩おれんじ鉄道

その他に、民営鉄道から第三セクターへ転換された例もあります。

また、東京臨海高速鉄道のように、最近都市部で新たに建設される鉄道も、第三セクター方式のものがほとんどです。

モノレールや新交通システムなども、第三セクターのことが多いです。

第3セクター鉄道は基本的に、新しく建設された路線か、あまり儲かっていない路線のどちらかです。鉄道ファンとしては、積極的に利用して応援したいものです。

まとめ

民営鉄道-第三セクター鉄道-公営鉄道

まとめると、日本の鉄道には、公営、民営(私鉄)、第三セクターの3種類の運営方式があります。

ところが、歴史的経緯から、JR線とそれ以外という分類をすることが多いため、JR以外は全て私鉄とみなされることがあります。

JRのうち、北海道と四国以外は民間会社が運営しています。

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