あんな
たかく
名古屋~長野間を青春18きっぷで移動すると6時間かかります。途中で列車の少ない区間を通りますが、あらかじめ調べておけば初心者でも乗りこなせます。
ですが、よくよく考えて使わないと思わぬ失敗や、残念な旅行となってしまうことも多いので、よく事情を調べてから行うようにしましょう。
もくじ
まずは基本的なデータ
ルートは1本道ですが、2つの路線を通ります。
名古屋~塩尻間が中央本線、塩尻~長野間が篠ノ井線です。ただし、乗り換えは塩尻ではなく、松本になることが多いです。
また、名古屋~塩尻間がJR東海、塩尻~長野間がJR東日本というように運営会社が分かれています。両社は中津川~松本間で相互直通運転をしています。
厳密に言うと、篠ノ井線のうち、最後の篠ノ井~長野間は信越本線ということになっていますが、篠ノ井で乗り換える必要は全くありません。これについて、通常は気にする必要はありません。
また、中央本線のうち、塩尻~名古屋間を中央西線という通称で呼ぶことがあります。東京~塩尻間のことを中央東線と呼びます。
行程は、ばらつきがありますので、平均値と標準偏差を示します。
具体的な時刻は各自で調べてください。
日帰りは可能、1泊なら余裕
青春18きっぷの旅行で片道6時間というと、ギリギリ実用的な日帰りができる範囲に入ります。
始発列車で出発して最終列車で帰ってくると、現地での滞在時間は3~4時間程度確保できます。
最終列車の時間が早いので、所要時間の割に、現地に滞在できる時間は短めです。
現地で1泊以上するのであれば、全く焦ることなく行動できます。
もしくは、帰りは特急しなの号や夜行バスを有効活用するという手もあります。
列車の本数が少ない区間に注意
中央本線は特急しなの号の走る幹線で、利用者も多い路線ですが、青春18きっぷ利用者にとっては不便な区間があるので注意が必要です。
途中の中津川~塩尻間は、普通列車が日中2時間に1本しかありません。そのため、時刻表を確認せずに旅行を始めてしまうと、大変なことになります。
また、この区間の列車は観光利用客も多く、日中は常に混んでいるイメージがあります。
「座れなかったから次の電車で」というわけにもいかず、終点まで2時間立ちっぱなしということもあります。ここで座れるかどうかが、旅行全体の印象を左右します。
そのため、発車時刻直前に乗り込むのではなく、列車の入線を並んで待っているくらいの余裕が必要です。
特急しなの号利用も視野に
中津川~塩尻間は普通列車が2時間に1本、特急しなの号が1時間に1本走っています。
どうしてもこの区間で都合の良い普通列車がなく、急ぎたい場合は、短区間で特急に乗るのも手です。
中津川~塩尻間は、特急に乗ると自由席利用で2,890円かかります。
この区間で利用できる割引はありません。
青春18きっぷが1日あたり2,410円ですから、これと比べるとかなり割高に感じますが、仕方ありません。それでも、名古屋~長野間全体で考えるとだいぶ安く収まっています。
これが納得できない場合は、全区間高速バス利用をおすすめします。
松本駅での乗り継ぎが悪い場合は、松本~長野間で特急に乗るとうまくいくこともあります。松本~長野間は、特急に乗ると自由席利用で2,370円かかります。
往復とも特急に乗るなら、「信州往復きっぷ」というものを使うと、松本~長野間が片道あたり420円安くなります。「信州往復きっぷ」と自由席特急券を組み合わせて利用します。
参考 信州往復きっぷおトクなきっぷ:JR東日本また、「信州しなの料金回数券」という4枚セットの特急回数券があります。これを使うと、1枚あたり680円安くなります。
このきっぷは大変安いので、往復で2枚しか使わず残りを捨てた場合でも、片道あたり160円の得になります。
参考 信州しなの料金回数券 おトクなきっぷ:JR東日本「信州往復きっぷ」と「信州しなの料金回数券」は併用可能です。
これらのきっぷは現地の駅でしか発売していないので、当日買う場合はその時間も十分考慮してください。
基本的には快速列車の恩恵はありません
青春18きっぷでは快速列車にも乗ることができるので、長距離旅行をするならできるだけ快速列車を活用したいところです。
青春18きっぷでは快速列車にも乗ることができるので、長距離旅行をするならできるだけ快速列車を活用したいところです。
中央本線・篠ノ井線のほとんどの区間では、すべての駅に止まる普通列車しか利用できません。ただし、場合によっては便利な快速列車が利用できる場合があります。
名古屋近郊では快速がメイン
名古屋~中津川間は名古屋の近郊路線で、快速列車が多数運転されています。
名古屋~中津川間を乗り通す場合は、基本的に快速列車に乗ることになります。
中津川~松本間は快速がない
中津川~松本間はすべての駅に止まる普通列車しかありません。
この区間は日中は2時間に1本しか列車がなく、それなりの難所となっています。
塩尻~松本間は、快速みすず号というものもありますが、この区間は各駅に止まります。
ちなみに、各駅に停まる列車しかありませんが、塩尻で停車中に後続の普通列車に追いつかれる場合があるので、注意が必要です。
旅行シーズンの土休日に、ナイスホリデー木曽路号という臨時快速が運転されることがあります。この列車は全車自由席で、通常と同じ車両が使われます。
ナイスホリデー木曽路号は、名古屋~塩尻間の運転で、中津川で乗り換える必要がありません。特急よりは劣りますが、かなりの数の駅を通過運転します。
運転日がごく限られる上、1日1往復の運転ですので、うまく利用するのは難しいかもしれません。
篠ノ井線の快速はあまり意味がない
松本~長野間も、ほとんどの場合普通列車しか利用できません。
まれに、一部の駅を通過する快速列車がありますが、所要時間はほとんど変わらないので、気にする必要はありません。
臨時列車でリゾートビューふるさと号という列車が走る日があります。この列車はリクライニングシートを備えた車両で、特急列車のような快適性を誇ります。
この列車は快速列車ですが、全車指定席なので、あらかじめ530円の指定席券を購入する必要があります。1日1往復しかありませんので、事前に時刻を調べて計画しておく必要があります。
ほとんどの土休日に運転がされますが、一応臨時列車なので、運転日は必ず確認が必要です。
参考 リゾートビューふるさとJR東日本旅客鉄道株式会社 長野支社車両設備は区間によってバラエティーに富んでいる
全体的に転換クロスシートやセミクロスシートの車両が多いですが、運が悪いとロングシートの車両にあたることもあります。
トイレは全ての列車についていますのでその点は安心です。
名古屋~中津川間
名古屋~中津川間では、211系と313系という車両が使われています。
211系はロングシート、313系は転換クロスシートです。
313系はJR東海の標準車両で、いろいろな形態のものがありますが、中央本線では車内が転換クロスシートのものが使われています。
313系にはすべてトイレがありますが、211系には一部トイレの設置されていない編成があります。
編成は4両から10両まであります。313系と211系が同じ列車に併結されて走っていることが多いです。そのため、編成内のどこかしらにトイレがある状態となっています。
313系には、かつて運転されていた「セントラルライナー」という列車に入るために製造された編成があります。この車両は車内の雰囲気がハイグレードになっているほか、外観の塗装が異なっています。現在ではセントラルライナーは廃止となっており、普通の車両と混ざって運用されています。
また、211系には、セミクロスシートの車両もあります。この車両は4両編成2本しか在籍しておらず、かなりのレア車両です。
中津川~松本間
JR東海の車両と、JR東日本の車両の両方が乗り入れています。
JR東海は313系、JR東日本は211系が使われています。
比率としては、JR東海の313系が圧倒的に多いです。
313系は車内が転換クロスシート、211系はロングシートのものが使われています。
313系は転換クロスシートなので快適ですが、基本的に2両編成で、座席の数も少ないので、座れないほど混んでいることが多いです。211系は3両編成なので、すいていて座りやすいです。
形式 | 313系 1300番台 | 211系 3000番台 | |
---|---|---|---|
所属 | JR東海 神領車両区 | JR東日本 長野総合車両センター | |
ドア数 | 3ドア | 3ドア | |
座席配置 | 転換クロス | ロング | |
編成両数 | 2両 | 4両 =2+2 | 3両 |
座席数 | 88席 =48+40 | 176席 =48+40+48+40 | 169席 =50+64+55 |
備考 | ワンマン対応 | 1日1往復 | 1日2往復 |
ちなみに、塩尻~松本間は中央東線から直通の列車も多数あります。これはほとんどが211系です。詳細は省略します。
ワンマン列車は313系
駅張りの時刻表で「ワンマン」と表示されているものは313系の2両編成です。
時刻表はJR東海のサイトで確認できます。
参考 中津川駅各駅の時刻表|JR東海 参考 塩尻駅各駅の時刻表|JR東海市販の時刻表で確認する場合は、列車番号1800番台がワンマン列車、800番台が車掌乗務列車です。
JR東海では、ワンマン電車の列車番号はGを使用していますが、中央西線では原則とは異なり、1000番台+Mとなっています。
ワンマン以外の列車
中津川~松本間運転の車掌乗務列車は1日3往復あります。このうち2往復が211系、残りの1往復が313系の4両編成です。
列車番号 | 中津川 | 松本 | 使用車両 |
---|---|---|---|
823M ※1 | 6:03 | 8:09 | 313系4両 |
829M | 10:00 | 12:23 | 211系3両 |
843M | 21:30 | 23:33 | 211系3両 |
※1 名古屋から乗り継ぎ不可
列車番号 | 松本 | 中津川 | 使用車両 |
---|---|---|---|
822M ※2 | 6:32 | 8:47 | 211系3両 |
834M | 15:33 | 18:18 | 211系3両 |
838M | 18:25 | 20:50 | 313系4両 |
※2 長野から乗り継ぎ不可
松本~長野間
この区間では、上記の211系に加えて、E127系という車両もあります。
E127系は名古屋方面に向かって左側がロングシート、右側がボックスシートになっています。こういう座席配置はちょっと珍しいです。
E127系の列車は2両編成が基本ですが、一部4両編成もあります。
211系はロングシートの編成とセミクロスシートの編成があります。セミクロスが1/3程度、残りの2/3程度がロングシートです。
211系の列車は3両編成が基本ですが、一部6両編成もあります。
211系とE127系のうち、どちらの車両が来るかは事前に決まっています。
ワンマン列車はE127系
駅に張ってある時刻表でワンマンと表示されているものはE127系の2両編成です。
JR東日本では、駅張りの時刻表はインターネット上に公表されていません。
市販の時刻表で確認する場合は、篠ノ井線内の列車番号2200番台がワンマン列車、それ以外が車掌乗務列車です。
JR東日本では、列車番号でワンマン列車の識別をすることができない路線が多いです。
ただし、篠ノ井線は列車番号で識別することができます。
ワンマン以外の列車
車掌乗務列車は、ほとんどが211系です。
快速みずず号は211系3両編成です。
ワンマン以外で、E127系が使われるのは以下の1往復のみです(名古屋~長野間の旅行で利用できる時間ではありません)。
列車番号 | 松本 | 長野 | 使用車両 |
---|---|---|---|
1221M ※1 | 6:18 | 7:28 | E127系4両 |
※1 名古屋から乗り継ぎ不可
列車番号 | 長野 | 松本 | 使用車両 |
---|---|---|---|
1548M ※2 | 19:52 | 21:04 | E127系4両 |
※2 名古屋まで乗り継ぎ不可
特急型車両(E257系)を使用する快速列車は2019年3月改正で無くなりました。
食事のために途中下車する駅は
改札内 店舗 | 改札外 店舗 | 改札内 飲食店 | 駅弁 | |
---|---|---|---|---|
名古屋 | ベルマート | ベルマート 駅ビル タカシマヤなど | きしめん屋 | あり |
中津川 | – | ベルマート そば屋 喫茶店 | そば屋 | – |
塩尻 | キオスク | NewDays そば屋 喫茶店 | そば屋 | あり |
松本 | NewDays | NewDays スターバックス レストランなど多数 (4階建て駅ビル) | そば屋 | あり |
長野 | NewDays | NewDays はなまるうどん レストランなど多数 (5階建て駅ビル) | そば屋 | あり |
ベルマート:JR東海系列のコンビニ
NewDays:JR東日本系列のコンビニ
列車の本数が少ないので、途中下車してうかうかしている暇がないことが多いです。乗り継ぎで時間がある場合でも、列車の座席を確保するためには、早めにホームにいて様子を伺っておく必要があります。
そのため、基本的には駅で買ったものを車内で食べるのがおすすめです。
乗り換えで降りるような駅にはコンビニか売店があります。
中津川、塩尻、松本の各駅には駅の中にそば屋があります。
松本は駅前が繁華街になっていますので、食事できるお店もたくさんあります。
中津川の駅前は飲食店もありますが、塩尻は期待しないほうがよいでしょう。
たかく
改札外に回ると広いです。
迂回ルートはマニアック
中央本線は列車が少なく、不便なので、もっと便利な路線がほかにないかと思う人もいるかもしれませんが、このあたりでは中央本線が一番便利です。
名古屋~長野間を旅行するときは、中央本線の他に、飯田線を経由するルートもありますが、実用には適しません。
飯田線経由
飯田線、と聞いてピンときた人は結構鉄道好きの方ではないでしょうか。
飯田線はとても長いローカル線として有名です。飯田線全線を乗り通すと7時間かかります。
あんな
もし、いつか飯田線に乗ってみたい、と考えているなら、名古屋~長野間を移動するついでに乗ることができます。
その場合、名古屋~長野の移動がまる一日がかりになってしまいますが、それでも移動のついでに飯田線を楽しむことができるので効率は良いです。
最速で移動すると12時間前後の所要時間ですが、途中下車を楽しみながら丸一日かけてゆっくり旅行すると良いです。
長時間移動するときは一目散に目的地を目指してはいけない代替手段
東京~名古屋間は新幹線が圧倒的に便利です。その分値段もかなり張りますので、悩みどころです。
リーズナブルな移動手段としては高速バスがあります。
青春18きっぷ利用を検討しているのであれば、高速バスも検討してみると良いでしょう。
所要時間 | 運賃・料金 | 運行頻度 | |
---|---|---|---|
🚃青春18きっぷ | 約6時間 | 2,410円 1位 | 2時間おき 1日6.5往復 |
🚃青春18きっぷ 中津川~塩尻間特急利用 | 約5時間 2位 | 5,300円 | 1時間おき |
🚄特急しなの号 | 3時間 1位 | 7,460円(指定席) 6,930円(自由席) 6,810円(信濃路フリーきっぷ) 6,020円(自由席・学割) | 1時間おき |
🚌高速バス | 約5時間 | 約3,000円~5,000円 2位 | 1日2往復 +夜行 |
🚌高速バス + 🚃JR篠ノ井線 松本乗換 | 5~6時間 | 約3,500円~5,000円 | 約2時間おき 1日7往復 夜行なし |
信濃路フリーきっぷは発売額を2で割って、片道あたりに換算しています。
特急しなの号
名古屋~長野間は、特急しなの号が最速で、本数も多くて便利です。その分運賃も高いので悩みどころです。
名古屋~長野間の営業キロは250.8キロです。片道600キロを超えませんので往復割引はありません。
名古屋方面から長野へ往復する場合は、「信濃路フリーきっぷ」というものが使えます。これを使うと自由席よりも安い値段で指定席を利用できます。
長野から名古屋へ往復する場合は使えません。
参考 信濃路フリーきっぷお得なきっぷ詳細情報|JR東海高速バス
所要時間5~6時間前後で、運賃は3,500円~5,000円程度です。
バスであれば期日に縛られることなく、安く旅行ができます。
また、夜行便があるというところもポイントです。
ただ、名古屋~長野間直行のバスは便数が少なく、その点では不便です。
名古屋~長野間を利用するときは、名古屋~松本間を高速バス、松本~長野間をJR篠ノ井線と乗り継ぐと、利用できる便がかなり多くなります。
松本~長野間のJRは「信州往復きっぷ」というものを使うと、片道あたり420円安くなります。
参考 信州往復きっぷおトクなきっぷ:JR東日本あわせて読みたい
遠回りだけど実用できる!東京~長野間を18きっぷでこの記事を書くにあたって、以下の書籍を参考にしました。