あんな
こんなに違うことってあるの?
たかく
電車に乗るときはきっぷを買ってから乗る方法と、ICカード乗車券を使って乗る方法があります。
どちらを使っても同じ運賃になるはずですが、東京近郊では微妙に額が違うことがあります。おもに、端数処理の方法が違う事によるものですので、違いはたかだか9円以内になるはずです。
ところが、この差額が10円以上になる場合があります。どういう事が起こっているのでしょうか。
きっぷ運賃520円、IC運賃482円
武蔵小杉~西船橋間を検索すると、東急東横線・中目黒・東京メトロ日比谷線・茅場町・東京メトロ東西線という経路が出てきます。
NAVITIMEより
この経路の運賃は、きっぷが520円、ICカードが482円と表示されています。その差は38円にもなります。これは端数処理の違いの範囲を超えています。
東急と東京メトロの2社の乗り継ぎになるため、端数の切り上げが2回行われるにしても、この差はおかしいです。
どうしてそのような差が生まれるのでしょうか。
2社間の接続駅が特定できないとこういう事が起こる
答えは、2社以上にまたがる場合で接続駅が複数あるからです。
東急も、東京メトロも、自社線内を乗車するときは必ず最短経路で運賃を計算します。
ところが、きっぷ利用で2社以上にまたがる場合は、会社間の接続駅を指定してきっぷを購入し、その経路で乗車しなければいけません。
一方、IC乗車券で乗車する場合は、自動で運賃を計算しますから、必ず一番安い経路の運賃になります。
そのため、東急と東京メトロのように、会社間に改札機を挟まないような接続駅が複数ある場合は、きっぷとICカードで運賃計算経路が異なる場合が発生します。
つまり、武蔵小杉~西船橋間を中目黒経由で乗車する場合は、きっぷの場合はその経路で計算し、ICカード利用の場合はより安い経路である渋谷経由で計算されるため、運賃に違いが生じるということです。
東武線と東京メトロ線の間でも
同様の例は、東武線と東京メトロ線の間でも起こります。
東武線と東京メトロ線の接続駅は押上と北千住の2つがありますので、ICカードときっぷで運賃計算経路が異なる場合が発生します。
例えば、西新井~大手町間を押上経由で乗車する場合は、きっぷ運賃が460円、IC運賃が367円となります。
あんな
このような取扱の根拠となる条文を示しておきます。PASMOが使える鉄道事業者では同様の規則になっています。
東京急行電鉄 ICカード乗車券取扱規則
(当社を含むIC鉄道事業者相互間を乗車する場合の運賃の減額)
第15条 旅客がICSF乗車券を使用して入場した後、各IC鉄道事業者の定める取扱区間内を連続して乗車する場合、出場時に減額する旅客運賃は、実際に乗車した経路に基づき、各IC鉄道事業者で定める大人片道普通旅客運賃の計算方による運賃の合算額とする。また、小児用PASMOのSFから減額する旅客運賃にあっては、各IC鉄道事業者で定める小児片道普通旅客運賃の合算額とする。2 旅客がIC定期乗車券またはIC企画乗車券を使用して入場した後、各IC鉄道事業者の定める取扱区間内を連続して乗車し、出場する場合の取扱いは前条の規定を準用する。
3 前各項にかかわらず、改札機等での旅客運賃の減額は、入場した駅から4社局以内の各IC鉄道事業者の定める取扱区間内を連続して乗車した場合に限る。ただし、5社局以上を連続して乗車した場合であっても、4社局以内を連続して乗車できる経路がある場合には、4社局以内を連続して乗車したものとみなして運賃を減額する。
4 前各項にかかわらず、乗車経路が特定できない場合は、実際に乗車した経路と異なる経路を乗車したものとみなして運賃を減額することがある。
5(略)
6(略)
東京急行電鉄 ICカード乗車券取扱規則 (PDF)
ちなみに、東京メトロと都営地下鉄の間でも接続駅が複数ありますが、きっぷの場合でも「接続駅にかかわらず」最安経路で計算する決まりになっていますので、この記事で紹介したような問題が起こることはありません。
この記事は質問箱に頂いた質問を元に作成しました。