あんな
たかく
実は鉄道の持つ最大のデメリットが強みになるのです。
柔軟ではないことを長年続けてきた
皆さんが普段使っている鉄道がいつ頃開通したかご存知ですか。
例えば新宿や渋谷を通る山手線。これは明治18年に開通しました。120年以上も昔のことです。それ以来毎日ずっと、同じ線路を走り続けています。関東大震災の日も、終戦の日も、走っていたのです。こんなに長いあいだ、同じように営業を続けている交通手段は他に存在しません。それは鉄道は線路の上しか走れないという宿命がなせる技なのです。
これは他の交通手段と比べると、とんでもないデメリットです。たとえばバス路線などは採算が取れなければすぐにルート変更をしたり、路線の統廃合ができます。自家用車など無軌道そのもので、どこへでも自由に行くことができます。でも、鉄道は線路がそこにある以上、ひたすら素直に走り続けることしかできないのです。
長年続けてきたことは文化となる
人々は長年のあいだ鉄道沿線という概念に縛り付けられて生活をしていました。それは街の作りにも作用し、鉄道を利用して行動するのがもっとも素直で自然になるような方向に変わっていったのです。
日本の街は鉄道が作り上げ、育ててきたと言っても過言ではありません。それはもはやその地域の文化そのものと言っても良いでしょう。
旅とは文化に触れること
旅の目的は自らに変化を起こすことにあります。その変化をもたらす原資の一つに現地の文化という大切な物があります。これを無視した旅は、私は旅と呼ぶ気になれません。
この、文化に触れる、という行為は、現地の鉄道に乗ればかんたんです。実際に乗ってみれば良いことも悪いことも気づくことができるでしょう。それは現地で生活している人みんなが感じていることであって、それを追体験することに価値があると思うのです。
たしかに今の時代、柔軟でないことは、かなりデメリットが大きいです。特に北海道旅行などになると列車がかなり不便ですので、効率を考えれば私でもレンタカーをおすすめせざるを得ないところがあります。でも、それでは現地の人が長年築きあげてきた文化に触れることが出来ないのです。