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9月28日 ぱらのま 2巻 発売!

一人旅のやり方を教えてくれるマンガ『ぱらのま』

一人旅のやり方を教えてくれるマンガ「ぱらのま」

素晴らしいマンガに出会えました。

日常生活にうんざりする。どこでも良いからどこか遠くに行ってしまいたい。一人旅に出かけてみたいと思うタイミングは誰しもあるのではないでしょうか。

もしくは、他の人が一人旅に出かけて楽しそうに帰ってきた、なんていうのを見て羨ましく思っている人もいるかもしれませんね。

そもそも一人旅なんて、何をどう楽しんだらいいのか、とか、やってみたいけど、どうしたらいいのかわからない、って思いませんか?

そんな人にぜひ読んでもらいたいのが『ぱらのま』というマンガです。

このマンガの主人公はまるでおれじゃないか

いままで旅行記とか、旅行系マンガとかいろいろ触れてきましたけど、「これは自分に向けた作品だ!」って心から思えるものに出会うことはありませんでした。

まず、旅人の好みが自分とは合致しない。

世の中に出回っている旅行情報というのは、基本的に商売絡みのものが多い。だから、商売として提供する人目線のものになってしまうのです。

たとえば、うちの地方にはこんな商品がありますよ、とかっていう情報がほとんどです。そういう情報ばっかり見ていると、そういうものを消費するのが旅行なんだと思いこんでしまいます。

したがって、旅行に行ってやりたいこと、行きたいスポット、食べたい物、などが自然と他人から与えられたものを享受する形になってしまいます。

私は旅行の最大の楽しみは、自分のやりたいことをする、というところにあると考えているので、そういった、本当に自分でやりたいのかわからないようなことをやるスタイルが好きになれないのです。

 

それから、私のように、鉄道や地理、地学に興味のある旅人が登場する話には致命的な欠陥があると思うのです。

それは旅人がオタクだということ。つまり、知識の多いものが偉いという思い込みがあって、旅人の人間性を描写するのが疎かになってしまう。もしくはことさらキャラクターの異常性をあげつらうような話になってしまう。

前者は単に知識を仕入れるための本になってしまうし、後者であれば単なる漫才やコントのようなものになってしまい、純粋に旅行記として楽しむことができないのです。

 

でも。この『ぱらのま』というマンガはそれらの不満がまったくないのです。

まるで自分がマンガに出てきたんじゃないかと思いました。性別違うけど。

流山駅

残念なお姉さんのありのままの感性

このマンガは基本的にはお姉さんが一人旅をするという内容です。このお姉さん、名前も年齢も作中では明かされないのですが、いわゆる残念なお姉さんと言うやつで、お酒が大好きで、ぐうたらした性格です。

一人旅というのは基本的に旅行先と旅人との会話です。このマンガでは旅先の風景の描写と、旅人の内面の描写が非常によく表現されています。

例えば第一話(作中ではLine.01と表現されている)では、新宿のデパートで買った駅弁を食べるために思い立って列車に乗って旅に出てしまいます。方向も適当に決め、行き先も決めずに列車に乗ってしまうという行動に至る心理は非常に共感できるものでした。

その結果、家で駅弁を楽しみにしていたお兄さんに怒られてしまうのですが、それでいてもケロッとしているところが非常に愉快です。

つまり「残念な」というのは、自分の好き嫌いをきちんと貫き通した結果なのであって、そういった面で言えば非常に格好が良い。憧れの存在といえるのかもしれません。

所々で現れる格言的なモノローグには毎回感心してしまいます。

例えば帯に抜粋されているコマには

夜発の寝台特急は
帰宅途中のサラリーマンが
ホームを埋めているのを
寝ながら眺める
ことができる

寝台料金の何割かは
この時の謎の優越感が
含まれているに
違いない

とあります。こういった独自の感性こそが、このマンガの最大の味わいどころだと思います。

寝台特急サンライズ-東京駅

鉄道の旅のやり方が完全にわかっている

こういった旅行モノにはよくあるのが、よくわからないけれどやってみる、というパターンです。いわゆる「やってみた」というやつです。たしかに初心者の方が挑戦する姿は参考になるし、面白いのですが、こと旅行モノについてはそれでは旅先の描写が不十分になりがちです。

つまり、旅行先がどんなふうであったか、というのを表現するには結構な技量が必要なのです。

でも、『ぱらのま』の取材は並大抵のものではありません。コマの節々からあふれる情報の数々がすごい。

例えば、香川県に出かけたところの描写では、この地方ならではの山の形が気になったり、ため池が多いという感想が出てきます。そういったものの知識がなければ、現地で実際に視界に入ってもスルーしてしまうのではないでしょうか。

旅行初心者の方はこのマンガを読むことで、そういった楽しみ方を勉強することができると思います。

 

それから、旅のやり方がよくわかっている。

旅行先の決め方、乗り物の選び方、町の歩き方などが達人の域に達しています。こういった行動パターンを真似すれば、あなたもこのお姉さんみたいに旅の達人になれます。

とか言って、このマンガを褒めてると、このサイトの価値が危ぶまれるかもしれません。強力なライバルだと思います。

ついでに、このお姉さんは無駄にグラマラスです。いちいち色っぽい。それ目当てで買ってもいいかもしれませんね。

ところで、『ぱらのま』ってどういう意味なんだろ…