あんな
たかく
格安で旅行ができるきっぷとして「青春18きっぷ」というものの名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
青春18きっぷは、日本全国のJR線が1日乗り放題で2,410円というきっぷです。
それでは今度の旅行で早速使ってみよう、と思う前に、大事な点があります。それは、青春18きっぷで新幹線に乗ることは出来ないということです。この点について詳しく説明します。
もくじ
大前提 新幹線には乗れません
新幹線に乗れない、といっても、特急券を買えば乗れるんでしょ、と思ったあなた!大間違いです。
「青春18きっぷ+新幹線特急券」というように組み合わせても、乗れません。
それでは、新幹線に乗りたい場合はどうすればいいのでしょうか。そういうときは乗車券と新幹線特急券を買う必要があります。
つまり、青春18きっぷを持っていない人と同じなのです。これが、青春18きっぷで新幹線に乗れないということです。
使える?使えない?青春18きっぷで乗れる列車の基本青春18きっぷの旅行はこういうことです
それでは青春18きっぷを持っていても、長距離の旅行ができないと、通常は考えてしまいます。まあ、そう思ってもらってもかまわないのですが、実際は日本全国のほとんどを旅行することができます。
青春18きっぷは、新幹線、特急以外のJRに乗り放題のきっぷなので、基本的には普通列車や快速列車での旅行になります。
例えば、東京から大阪まで行きたい場合は、各駅停車や快速列車を乗り継いで9時間かけて旅行するわけです。
東京から大阪まで9時間です。
新幹線や飛行機を使った旅行とは、まるで常識が異なります。
まず、旅行日程のほとんどを移動時間が占めることを覚悟する必要があります。新幹線に乗るときは長くても4時間くらいの乗車時間しかかかりませんが、青春18きっぷでの旅行の場合は、
「早朝から深夜まで乗り続けてもまだ目的地につかない!」
なんていうことも珍しくありません。東京駅を始発列車で出発しても、その日のうちにたどり着けない県がいくつかあります。(福岡県以外の九州6県、島根県、高知県、北海道)
そうすると、旅行の日程が数日単位で伸びてしまいますし、逆に日程が2日程度しか取れないのであれば、満足に目的地に滞在することもままなりません。
そういった多大な犠牲と引き換えに、日本全国のJR線一日乗り放題で2,410円ということなのです。
ただ、「一日中列車に乗りつづけたい!」といったスタイルの旅を求める人は案外多くいます。私も含め、大勢の旅行者が青春18きっぷで全国行脚の旅に出ています。
これを「苦行」と評する向きもありますが、私は逆に、とても贅沢な時間の使い方だと考えています。
在来線で長距離旅行をするときの楽しみ方を以下の記事で紹介しています。
長時間移動するときは一目散に目的地を目指してはいけない 慣れれば快適!東京~大阪を18きっぷで新幹線ワープ
青春18きっぷと新幹線を効率的に組み合わせて旅行するという技があります。
基本的には青春18きっぷを使用して在来線で移動するのですが、ピンポイントで新幹線にのると大変効率が良いことがあるのです。ピンポイントで新幹線に乗ることを「ワープ」と呼んだりします(正式な用語ではありません)。
これがピンポイントではなくて、もっと大胆に新幹線に乗ってしまうのであれば、18きっぷを持っている意味がありません。だから、あくまでピンポイントで乗るということが重要です。
例えば、東京~大阪間を旅行するときは、静岡県内が長くて疲れるという話によくなります。そういったときは、熱海~浜松間だけ新幹線を使うとだいぶ時間短縮できます。
ゼロから解説!青春18きっぷで新幹線ワープをする方法隣接駅間の新幹線は割安(特定特急料金)
ワープするときに覚えておくと良いのは、新幹線の隣接駅間の自由席料金は割安に設定されているということです。
東海道新幹線を例に取ってみると、通常の区間では自由席特急料金は1,760円からなのに対し、隣接駅間では870円となっています。(もちろん、これに加えて新幹線乗車区間の運賃がかかります。)
このような料金設定は(九州新幹線の一部区間を除いて)日本全国の新幹線にあります。これを特定特急料金と呼びます。
中でもオトクなのは、あとから途中駅ができた区間です。あとから途中駅ができた駅間は、かつて隣接駅間だった経緯から、割安の料金がそのままになっているのです。東海道新幹線で言うと、品川、新富士、掛川、三河安城があとから設置されました。これにともなって隣接駅間ではなくなった区間、具体的には、東京~新横浜間、三島~静岡間、静岡~浜松間、豊橋~名古屋間にも特定特急料金が適用されます。
ちなみに、指定席特急料金は隣接駅間であっても特に安くはなりません。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
特定特急券って何?自由席特急券との違いは?新幹線に乗れないと言っても
青春18きっぷで新幹線に乗れないと言っても、これはどうなの、と思うケースもあるかもしれません。
事故で在来線が不通になったときはどうなるの?
不測の事態が生じて、在来線が運休になった場合でも、18きっぷで新幹線に乗ることはできません。
JR側に責任のある状況であったとしても、青春18きっぷ利用者が新幹線に乗る場合は、利用者が運賃・料金を負担して乗車する必要があります。
山形新幹線と秋田新幹線は正式には新幹線ではないと聞いたことがあるけど?
たしかに山形新幹線と秋田新幹線は正式には在来線の特急扱いです。ただ、青春18きっぷは在来線の特急列車に乗ることもできないので、どちらにせよ、乗ることはできないのです。
博多南線や上越新幹線のガーラ支線は在来線でしょ?
たしかに博多南線や、越後湯沢~ガーラ湯沢間は在来線扱いです。ただ、走っている全列車が特急列車扱いなので、これにも乗ることはできません。
JRの在来線のうち、この2区間だけはどうしても青春18きっぷで乗ることはできません。
北陸新幹線や九州新幹線、東北新幹線は並行在来線がJRじゃないけど?
北陸新幹線や九州新幹線、東北新幹線の並行在来線は、JRから経営が分離されました。そのため、青春18きっぷでは新幹線に乗ることができないのはもちろんのこと、在来線に乗ることもできなくなりました。
これに関する救済措置はありません。諦めてください。
ただし、これによって城端線、氷見線、八戸線、大湊線の4線は他のJR在来線と接しないことになってしまいましたので、これらの路線に乗りに行けるような特例があります。
といっても、飛び地化を解消する最低限度の区間の在来線にしか乗れません。一般的に言うと、こういった地域へ青春18きっぷで出かけるのは大変困難な状況になっています。
北海道新幹線は乗れるようなことを聞いたことがあるけど?
北海道新幹線についても、基本的には乗れません。
したがって、青春18きっぷを使用して、追加料金無しで本州~北海道間を移動することはできません。
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券というものがあるけど
ところで、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」というものが発売されています。
これは、青春18きっぷと組み合わせることによって、奥津軽いまべつ~木古内間の北海道新幹線と、道南いさりび鉄道の木古内~五稜郭間を2,490円で乗ることができるというきっぷです。ただ、よく考えないでこのきっぷを使えば良いのだというふうに安易に考えていると、とんでもない目に遭います。
このきっぷを使うには、青森駅から津軽線で津軽二股駅まで乗車し、そこで隣接する奥津軽いまべつ駅から北海道新幹線に乗らなければいけないのですが、ここの乗り換えが過酷極まるのです。乗り換え時間自体は徒歩5分程度なので何ら心配するものではないのですが、乗り換え待ち時間がひどいのです。青森から津軽二股駅に行ける列車は1日5往復しかなく、奥津軽いまべつ駅に停車する新幹線も1日7往復しかありません。そのため、1時間待ちでは良い方で、下手をすると3時間近く待ち合わせ時間がかかるパターンもあります。
なので、初心者の方には「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の利用はおすすめできません。通常通り、運賃と特急料金を支払って新青森~新函館北斗間を乗ることをおすすめします。
まとめ
青春18きっぷを使って新幹線に乗ることはできません。
ですが、青春18きっぷ利用中に一休みして、新幹線にちょい乗りしたりする技を使うと効率的に移動ができることがあります。
唯一例外的に北海道新幹線に乗れる方法はありますが、恐ろしく効率が悪いので初心者にはおすすめできません。