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片道乗車券にならない?新幹線と在来線を乗継ぐときのややこしい話

片道乗車券にならない?新幹線と在来線を乗り継ぐときのややこしい話

あんな

新幹線と在来線を乗り継ぐときは1枚のきっぷにできるけど、
1枚にできない場合があるの?

たかく

折り返しのときは注意が必要だね

JRの乗車券は片道であればどんなルートでもつなげて1枚のきっぷにすることができます。

新幹線と在来線を乗り継ぐ場合ももちろんつなげることができます。ただし、折り返しとなる場合はできる場合とできない場合があります。

新幹線と在来線を乗り継いで折り返しとなる場合とはどういうことでしょうか。

JRの乗車券は通算できる

JRのきっぷには乗車券と料金券の2種類があります。料金券とは特急券やグリーン車などの、輸送サービスに上乗せしてかかる料金のきっぷのことです。

料金券は原則として、1列車につき1枚ですが、乗車券はその決まりがありません。列車を次々乗り継ぐ場合でも、乗車券はまとめて1枚のきっぷにすることができます

乗車券はできることならばまとめたほうがお得になります。それは遠距離逓減ていげん制といって、長く乗れば長く乗るほど単価が安くなる仕組みになっているからです。

例えば、東京から名古屋に寄り道して大阪に行くときのことを考えてみましょう。

東京都区内→名古屋市内の乗車券と名古屋→新大阪を別々に買った場合は9,610円です。

一方、東京都区内→大阪市内の乗車券は8,750円です。この乗車券は途中で名古屋を通りますから、名古屋で途中下車の扱いをすれば、名古屋での用事を済ませることができます。

このように、乗車券をつなげるだけで860円も安く旅行ができます。

メモ
ちなみに、遠距離逓減がきくのは片道300キロ以上からです。
ぜんぶの乗車距離が300キロ未満の場合は、つなげて買っても同じような値段になります。

たかく

一筋縄では説明できないのが興味深いところです

片道乗車券の成立要件

長く乗るほどお得ということで、出来る限り通算させたいところですが、片道乗車券を作るには条件があります。

JRの旅客営業規則を見れば厳密に書いてあるのですが、簡単に言うと、以下の3つの決まりがあります。

片道乗車券の成立要件
  • 同一方向に連続する限り、通算できる
  • 環状線1周となる駅で打ち切る
  • 折り返しとなる駅で打ち切る

このうち、環状線というのは、山手線1周はもちろんのこと、本州を1周するようなきっぷも指します。つまり、同じ駅を2度以上通ったら経路がループしてしまうので、だめです、ということです。

問題なのは、折り返しが禁止ということです。普通の旅行であれば、折返す地点というのは目的地のことなので、往復乗車券を買えば事足ります。ただ、新幹線と在来線を乗り継ぐような旅行の場合は、目的地へ向かう途中で折り返しとなる場合が発生するので、話がややこしくなります。

新幹線と在来線は同じ線路とみなす

新幹線と在来線を乗り継ぐときに折り返しになるとはどういうことなのかと、疑問に思った方もいるかもしれません。実は、運賃計算のときは新幹線と在来線を同じ線路とみなす決まりがあるのです。

新幹線と在来線を同一視する区間
新幹線 在来線
東海道新幹線 東海道本線
山陽新幹線
(新大阪~新下関間)
東海道本線・山陽本線
九州新幹線
(博多~新八代間、川内~鹿児島中央間)
鹿児島本線
東北新幹線
(東京~盛岡間)
東北本線
上越新幹線 高崎線・上越線・信越本線

これは、もともと在来線の輸送力が足りなくなり、線路を増やすという意味で新幹線が作られたからです。在来線と新幹線に両方とも長距離列車が走っていて、都合によってどちらかを選択することができました。そのため、乗車券は共通で使えるようにされたのです。ところが現在となっては在来線を長距離走る列車がないので、あまり実態にあった制度ではないかもしれません。

そういうわけで、近年作られる新幹線は、並行在来線の廃止が前提とされるようになりました。廃止と言ってもほとんどの区間で地元の県が主体として運営される第三セクター鉄道に生まれ変わっています。

こういう区間では、新幹線は単独の線路とみなされます。

新幹線と在来線を同一視しない区間
理由
山陽新幹線
(新下関~博多間)
JR西日本とJR九州で運賃が異なるため
九州新幹線
(新八代~川内間)
並行在来線がJRではないため
北陸新幹線
東北新幹線
(盛岡~新青森間)
北海道新幹線

また、新下関~博多間は、在来線がJR九州、新幹線がJR西日本になりました。両者で異なる運賃を設定していて、同一視するとややこしいことになるので、この区間は例外的に別々の線路とみなします。ただし、この区間は折り返しを禁止する規定があります。

このように、新幹線と在来線を同一視する区間が絡むときは、乗車券の経路の折り返しに注意が必要です。

大津-折り返し

例えば、東京から京都まで新幹線で行き、京都から大津まで在来線に乗る場合は、京都~大津間が折り返し乗車となるので、1枚の乗車券にまとめることができません。

新幹線単独駅を含む区間は別線あつかい

さて、ここからだんだん話がややこしくなるのですが、新幹線と在来線を同一視する区間を利用する場合でも、別線とみなす場合があるのです。

横浜~静岡間-片道

例えば、横浜から品川まで在来線で行き、品川から静岡まで新幹線に乗る場合は、折り返しに見えますが、乗車券が通算できます。これは、品川~小田原間に新横浜駅があるためです。

たかく

この話はJRのきっぷの規則の中でも最もわかりにくいと言われている規定です

幹在同一視-新横浜~静岡間

たとえば、新横浜から静岡に向かうときのことを考えてみましょう。新幹線と在来線が同じ線路だと言われても、東海道本線に新横浜駅はありません。こういう場合は特別に、新横浜~小田原間だけ、新幹線と在来線が別の線路だとみなします。

これはつまり、間に新幹線単独駅がある区間を発着、または接続駅とするときに限って、別線とみなすということなのです。

品川~小田原間と同様に考え、三島~静岡間も、途中に新富士駅があるので幹在別線あつかいをする区間です。ただし、この例の乗車券では「この区間内の駅を発着駅としていない」ので、同一の線路とみなします。

横浜~静岡間-片道

最初の例で言うと、横浜は品川~小田原間にある駅なので、横浜発着の運賃を計算するときは、品川~小田原間を別の線路だとみなします。その結果、横浜から品川を通って静岡までの片道乗車券が作れるのです。

大津-折り返し

京都~大津間の例ではなぜだめなのかというと、米原~京都間は新幹線単独駅がなく、別線とみなすことができないからです。

つまり、間に新幹線単独駅を含む区間は折り返しても1枚の片道乗車券が作れ、間に新幹線単独駅を含まない区間を折り返した場合は2枚の乗車券に別れるということになります。

旅客営業規則 第16条の2 第2項

前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。

(1)品川・小田原間
(2)三島・静岡間
(3)名古屋・米原間
(4)新大阪・西明石間
(5)福山・三原間
(6)三原・広島間
(7)広島・徳山間
(8)福島・仙台間
(9)仙台・一ノ関間
(10)一ノ関・北上間
(11)北上・盛岡間
(12)熊谷・高崎間
(13)高崎・越後湯沢間
(14)長岡・新潟間
(15)博多・久留米間
(16)筑後船小屋・熊本間

JR東日本 旅客営業規則

旅客営業規則の原文には新幹線単独駅のことは書いてありませんが、別線扱いをする区間はすべて途中に新幹線単独駅を含む区間です。

参考 新幹線と在来線が並行する区間の特例きっぷのルール:JRおでかけネット
メモ
品川~小田原間を例にとって、整理してみます。

品川~小田原間の駅を発または着、となる乗車券になる場合に、新幹線と在来線を別の線路と考える、と書いてあります。

ただし、品川、小田原の各駅を除く、とも書いてあります。つまり、別線とみなすのは、大井町~鴨宮の各駅と新横浜駅を発着する場合、という意味です。

「接続駅とする」というのは、分岐して他の路線に乗るときのことです。例えば川崎から分かれて南武線に行く場合は、川崎が接続駅となり、これは大井町~鴨宮間の各駅に含みますから、東海道新幹線と東海道本線を別の線路とみなすことになります。

特定都区市内は折り返しが可能

難しいことを考えなくても、片道乗車券で折り返し乗車ができる場合もあります。

新幹線のきっぷを買ったことのある人なら、「東京都区内」とか「大阪市内」などという表記を見たことがある人もいると思います。このように、乗車券の発着駅が駅ではなく、エリアで指定されているときは、その区間内で折り返し乗車ができます

山科-折り返し

例えば、東京都区内→京都市内の乗車券では、東京から京都まで新幹線で行き、京都から山科まで在来線で戻ることができます。

京都~山科間は新幹線と在来線を同一視する区間ですので、本来は折り返し乗車ができないのですが、山科駅は京都市内ですから、このような乗り方が可能です。

ただし、この場合は京都市内の駅で途中下車できません。京都駅で下車した場合は乗車券が回収されてしまいますので、改めて京都から山科までのきっぷを買わないといけません。

折り返し乗車ができるのは、そのエリアが発駅または着駅になっているきっぷを持っているときだけです。例えば「東京都区内→大阪市内」の乗車券でも京都市内を通りますが、このきっぷは京都市内で折り返し乗車をすることはできません。

特定都区市内の適用は強制

このように、乗車券の発着駅がエリアで指定される制度を、「特定都区市内制度」と言います。これが適用される場合は、乗り始める駅、または降りる駅を自由に選べる代わりに、そのエリア内での途中下車ができなくなります。

この制度は、条件を満たす場合に強制的に適用になるもので、買うときに選べるものではありません。

条件は

特定都区市内の駅と

その特定都区市内の中心駅から201キロ以上離れた駅と

の間を乗車するときです。

たとえば、新橋駅と名古屋駅の間を乗るときは、

  1. 新橋駅は東京都区内の駅です。
  2. 東京都区内の中心駅は東京駅です。
  3. 東京駅と名古屋駅は201キロ以上離れています。

なので、乗車券の発駅は新橋駅ではなく東京都区内になります。

名古屋側でも同様に考え、「東京都区内→名古屋市内」となります。

特定都区市内制度があるのは、

札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡

の11都市です。

また、東京駅から101キロ以上200キロまでの距離の乗車券は、「東京山手線内」になります。

それから、特定都区市内を通過してから再びエリア内に戻る場合は、特定都区市内制度が除外される規定があります。詳しくは後で例をあげて説明します。

参考 特定の都区市内駅を発着する場合の特例きっぷのルール:JRおでかけネット 参考 東京山手線内の駅を発着する場合の特例きっぷのルール:JRおでかけネット

分岐するときは分岐駅通過の特例

分岐が絡む場合にも、折り返し乗車ができることがあります。

東京から新幹線で京都まで行き、京都から湖西こせい線に乗り換えて福井まで乗車するときのことを考えてみましょう。

路線図をよく見てみると、湖西線の分岐駅は京都ではなくて、一つ手前の山科であることがわかります。

京都~山科間-分岐駅通過

この場合、京都~山科間を折り返して、2度乗ることになります。この区間は新幹線単独駅がないので新幹線と在来線を同一視する区間です。また、乗車券の着駅は福井であって、京都市内ではないので、特定都区市内の折り返し乗車にも該当しません。

実はこういった場合に備えて、「分岐駅通過の特例」というものが存在します。

これは、分岐駅に止まらない列車に乗るために、乗車券の経路からはみ出して往復乗車することができるという特例です。

上の図で言うと、緑色の経路の乗車券を買えば、紫色の区間にはみ出して乗車することができます。

新幹線はもちろん山科駅に停車しないので、物理的に不可能な経路の乗車券となってしまいますが、この特例があるおかげで、成立するのです。

ただし、区間外乗車中の駅では途中下車ができません。この例の場合では、京都駅で途中下車ができません。京都で途中下車したい場合は、山科~京都間の往復乗車券が別途必要です。京都駅の精算所で支払うことも可能です。

こういった箇所は全国に数十箇所あります。

参考 分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例きっぷのルール:JRおでかけネット

折り返しになるときは連続乗車券

それでは経路が折り返しとなるときはどうすればよいのでしょうか。

JRはこういう場合を想定して連続乗車券というものを発行しています。これは、片道乗車券でも往復乗車券でも対応できないような乗り方のときに発券される乗車券です。

A駅→B駅の片道乗車券と、B駅→C駅の片道乗車券がセットになって発売されます。

つまり

  • 片道乗車券や往復乗車券では対応できない乗り方のうち、
  • 片道乗車券2枚で成立する経路で、
  • 1枚目の券片の着駅が2枚目の券片の発駅となる

場合に連続乗車券が作れます。

片道乗車券が成立しないとはどういう場合かというと、

  • 環状線1周を超える
  • 途中で折り返しとなるが、往復乗車券にならない

という2パターンがあります。この記事で取り上げている事例に合致するのは後者のパターンです。

こういう変な乗り方にも対応したきっぷがあるというのは、よく考えられているなと感心するところではあります。とはいえ、実は思ったほどメリットはありません。運賃の割引はなく、単純に2枚の乗車券の代金を合算したものになります。

あまりメリットがなく、JR側も積極的にアピールしていないので知名度は今ひとつです。

片道乗車券を2枚買う場合と連続乗車券を買う場合で違うのは、

  • 有効日数が合算されること
  • 学割の場合は割引証が1枚で済むこと
  • 払い戻し手数料が1枚分で済むこと

くらいです。これは片道と往復の違いと同様です。往復の場合は601キロを超えると往復割引がありますが、連続乗車券には割引はありません。

マイナーなきっぷではありますが、自動券売機で特急券と乗車券を同時に買うときに、乗車券の発着駅の指定の仕方によっては、自動的に計算されて連続乗車券が発券されることがあります。
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幹在同一視の区間の例

今まで説明したことを整理するために、いくつか例を示します。

まず、米原~京都間は新幹線単独駅がないので、在来線と新幹線を同一視する区間です。

東京~山科間

東京~山科間

山科駅は京都市内の駅です。東京~京都間は513.6キロで、201キロを超えていますから、特定都区市内制度が適用されます。京都~山科間は折り返しとなりますが、京都市内着の乗車券で乗ることができます。

必要な乗車券は「東京都区内→京都市内」(8,210円)

東京~大津京間

東京~大津京間

大津京は京都市内の駅ではありませんから、特定都区市内制度はありません。京都~山科間は分岐駅通過の特例がありますから、折り返し乗車ができます。

必要な乗車券は「東京都区内→大津京(山科経由)」(8,210円)

京都で途中下車する場合は別途「山科⇔京都」の往復(190円×2)

東京~大津間

京都~大津間

大津は京都市内の駅ではありませんから、特定都区市内制度はありません。京都~山科間は分岐駅通過の特例がありますが、この場合は分岐していないので適用されません。

京都市内着の乗車券で山科まで乗車できるので、これに加えて山科~大津間の乗車券が必要になります。

必要な乗車券は「(連続1)東京都区内→京都市内、(連続2)山科→大津」(8,210円+190円)

京都で途中下車する場合は「(連続1)東京都区内→京都市内、(連続2)京都→大津」(8,210円+200円)

米原~大津間

米原~大津間

米原~京都間は67.7キロで、200キロ未満ですから、特定都区市内制度は適用されません。分岐していないので分岐駅通過の特例も適用されません。

必要な乗車券は「(連続1)米原→京都、(連続2)京都→大津」(1,140円+200円)

幹在別線区間の例

品川~小田原間には新幹線単独駅の新横浜がありますので、この区間は新幹線と在来線を別線扱いします。

京都~蒲田間

京都~蒲田間

蒲田は東京都区内の駅です。東京~京都間は513.6キロで、201キロを超えていますから、特定都区市内制度が適用されます。品川~蒲田間は東京都区内着の乗車券で乗ることができます。

必要な乗車券は「京都市内→東京都区内」(8,210円)

京都~横浜間

京都~横浜間2

この区間は別線扱いですので、乗車経路どうりの片道乗車券が作れます。

京都~横浜間(品川経由)は528.8キロで、201キロを超えていますから、特定都区市内制度が適用されるかと思う人もいるかも知れません。ところが、エリアを一旦通過してから再度エリア内に入る場合は適用が除外されるという特例があって、これに引っかかるケースです。なので、着駅は横浜市内ではなく、横浜となります。

必要な乗車券は「京都市内→横浜(品川経由)」(8,420円)

まとめ

新幹線と在来線を乗り継ぐときには可能な限り1枚の乗車券にまとめたほうが安くすみます。

新幹線と在来線は同一の線路とみなす区間と、別々の線路とみなす区間があって、同一の線路とみなす区間を折り返す場合は片道乗車券になりません。

同一の線路とみなすか、別々の線路とみなすかは、途中に新幹線単独駅があるかによって違います。

単純そうな話ですが、結構複雑な話なので、じっくり考えて理解するようにしましょう。

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