あんな
たかく
急に予定が変わって特急券が不要になることがあります。旅行そのものの中止ということもありますが、行程を組み替えた結果、いらなくなることもあります。
JRのきっぷは不要になった場合の取り扱いがわりと優しいです。キャンセル料に当たる「払いもどし手数料」は200~300円程度で済みますので、きちんと手続きをすればかなりの額が戻ってきます。
払いもどしの方法について説明します。
もくじ
買った特急券を使わなくなったらどうなる
一度買ったきっぷが不要になった場合は、キャンセルすることができます。
JRのきっぷは「予約=購入」ですから、「キャンセル=払いもどし」となります。つまり、旅行の中止を申し出ると同時に、すでに払った料金などを返金してもらうかたちになります。
払いもどしを受ける際には、払った金額が100%戻ってくるわけではありません。キャンセル料に当たる「払いもどし手数料」がかかります。
払いもどし額 = すでに払った金額 – 払いもどし手数料
現金で購入した特急券は現金で払いもどされます。クレジットカードで購入した特急券はクレジットカードに返金されます。
払いもどし手数料
特急券の払いもどし手数料は自由席と指定席で異なります。グリーン特急券は指定席特急券と同じ扱いです。
一般的な他の交通機関や、宿泊施設などと比べて、かなりお得な手数料設定となっています。
かなりの額が戻ってきますので、手続きをしないともったいないです。
きっぷの種類 | 条件 | 払いもどし手数料 |
---|---|---|
自由席特急券 | 有効期間内 | 220円 |
特定特急券 | ||
指定席特急券 | 出発2日前まで | 340円 |
出発前日から 出発時刻まで |
30% ただし最低340円 |
|
立席特急券 | 出発時刻まで | 220円 |
座席未指定券 | 有効期間内 | 340円 |
旅客営業規則 第273条 指定券に対する料金の払いもどし|JR東日本
自由席特急券
自由席特急券の払いもどし手数料は1枚あたり220円です。
例えば、東京~名古屋間の自由席特急券を払い戻すときは、
自由席特急券の料金4,180円から220円を差し引いて、3,960円が返金されます。
特定特急券、立席特急券も同様に計算します。
指定席特急券
指定席特急券は払いもどしを申し出るタイミングによって変わります。旅行の前日から手数料が跳ね上がります。
指定列車出発日の2日前まで
指定列車が出発する2日前までに申し出た場合の払いもどし手数料は1枚あたり340円です。
例えば、3月10日の東京~名古屋間ののぞみ号指定席特急券を払い戻すときは、
指定席特急券の料金4,920円から340円を差し引いて、4,580円が返金されます。
この金額を適用するには3月8日までに払い戻しを申し出る必要があります。
指定列車出発日の前日以降
指定列車が出発する前日以降に申し出た場合の払いもどし手数料は発売額の30%です(10円未満は切り捨て)。ただし、元の特急券が1,130円以下の場合は、発売額の30%が340円を下回ってしまいます。この場合は一律340円となります。
例えば、3月10日の東京~名古屋間ののぞみ号指定席特急券を3月9日に払い戻すときは、
指定席特急券の料金4,920円から1,470円を差し引いて、3,450円が返金されます。
払いもどし額を計算するときは、発売額に0.7を掛けて10円未満を切り上げる方法で簡単にわかります。
座席未指定券
常磐線のひたち号、ときわ号、成田線の成田エクスプレス号、高崎線のスワローあかぎ号には座席未指定券というものがあります。
座席未指定券の払いもどし手数料は1枚あたり340円です。
払いもどしを申し出るタイミング
特急券を払いもどしできるタイミングには期限があります。
自由席特急券の場合は、有効期間内に申し出る必要があります。自由席特急券の有効期間は1日間ですから、乗車予定日を1日でも過ぎたら無効になってしまいます。
指定席特急券の場合は、乗車駅を発車する時刻までに申し出る必要があります。
特定特急券は自由席特急券と同じく、有効期間内。立席特急券は指定席特急券と同様に発車時刻までです。
乗り遅れたらどうなる?
指定席特急券で、指定列車に乗り遅れたり、発車時刻までに払いもどしや変更の申し出がない場合は、払いもどしは一切できません。
本来ならその時点で紙切れになってしまいますが、JRの温情で、後続列車の自由席に乗ることが許されています。
東北新幹線のはやぶさ号、こまち号、はやて号、北陸新幹線のかがやき号、常磐線のひたち号、ときわ号、成田線の成田エクスプレス号、高崎線のスワローあかぎ号に乗り遅れた場合は、後続の列車の指定席に立席で乗車できます(自由席が存在しない列車のうち、ビジネス利用の多い列車)。これら以外の列車の指定席車両には乗れません。
払いもどしを申し出る場所
JRの特急券であれば、全国どの駅でも取り扱っています。
みどりの窓口がある駅ではみどりの窓口で、ない駅は係員のいる窓口で申し出てください。
クレジットカードで購入した特急券を払いもどす場合は、その場で取扱いができない場合があります。その場合は、すでに払いもどしを申し出たという証明をきっぷに受ける形になります。実際の返金処理は後日、取扱箇所で行います。払いもどしを申し出た時刻が重要ですので、払いもどしたいと思った時点で速やかに申し出ましょう。
すでに発券してしまったきっぷは、電話やインターネットでキャンセルすることはできません。
払いもどしに必要なもの
現金で購入したきっぷの場合は、払いもどしたいきっぷを持っていけばOKです。
クレジットカードで購入したきっぷの場合は、払いもどしたいきっぷと、購入した時に使用したカードを持っていく必要があります。
クレジットカードで購入したきっぷには「C制」などの記号が印字されています。
払いもどしの他に乗車変更もできます
特急券を使用しなくなったときは払いもどしの他の手段もあります。
特急券は1回に限って他の特急券に変更することができます。この場合、自由席に変更できるのは元のきっぷが自由席の場合だけです。ただし、変更したい先の列車の指定席が満席の場合は、例外的に指定席から自由席に変更することができます。
この原則に従えば、全国のどの列車のきっぷにも変更することができます。
たとえば、北海道の列車の特急券を九州の列車の特急券に変更することもできます。その時点で発売しているきっぷであれば、日時も自由に選べます。最大で1ヶ月後の列車まで発売しています。
特急券を乗車券に変更することはできません。
乗車変更は手数料がかからない
払いもどしの場合は手数料がかかりますが、乗車変更は手数料がかかりません。過不足金が発生する場合はきっちりと精算されます。
例えば、東京~新横浜間の自由席特急券を、東京~新大阪間の自由席特急券に変更する場合は、
870円のきっぷを4,960円のきっぷに変更するので、差額の4,090円を支払う事になります。
逆の変更をする場合は、
4,960円のきっぷを870円のきっぷに変更するので、差額の4,090円が払いもどされる事になります。
つまり、予定が変わって別の列車に乗る用事ができたのであれば、払いもどすのではなく、乗車変更をしたほうがお得だということです。
払いもどし手数料を節約する裏技
乗車変更してまで乗る列車の予定はないという場合でも、払いもどしはちょっと待って下さい。乗車変更で手数料を節約できるかもしれません。
払いもどし手数料よりも安いきっぷがあるのです。払いもどし手数料よりも安いきっぷに乗車変更をすれば、普通に払いもどすよりも多くの金額が戻ってきます。
種類 | 区間 | ねだん | |
---|---|---|---|
自由席 | 特定特急券 | 博多~博多南間 | 100円 |
特定特急券 | 越後湯沢~ガーラ湯沢間 | 100円 | |
指定席 | 指定席券 | 快速 みえ号 二見浦~鳥羽間など |
330円~530円 |
自由席券の場合は、博多南線の博多~博多南間の特定特急券が100円です。
払いもどし手数料220円を支払うべきところ、100円で済ませることができます。
指定席券の場合は、北海道と九州以外の閑散期の普通列車の指定席券が330円です。1ヶ月以内に閑散期の日がない場合は530円です。
普通列車の指定席は、瀬戸大橋線のマリンライナー号や関西本線のみえ号などに連結されています。
払いもどしで340円払う場合は、10円の節約にしかなりませんが、出発前日以降の場合は、30%もかかってきますから、節約の効果は大きいです。
閑散期がいつなのかは以下のページを参照してください。
参考
シーズン別の指定席特急料金JRおでかけネット
乗車日を先延ばしに変更してから払いもどしたらどうなる
察しのいい人ならば、2日後以降の指定席に変更してから払いもどしたら手数料はどうなるのか、ということを考えるかもしれません。
これについては対策が講じられています。払いもどしに30%の手数料を払うべききっぷを乗車変更し、払いもどす際には、30%の手数料が適用されることになっています。そのようなきっぷには「2日以内に変更」という文字が印字されます。
ただし、変更後のきっぷを払いもどす際は、変更後のきっぷの値段の30%の手数料になります。変更してから払いもどすつもりであれば、なるべく安い金額のものに変更すると良いです。
旅客営業規則 第273条 指定券に対する料金の払いもどし
(前略)この場合、変更前の指定券に表示された列車の出発する日の前日又は当日に乗車券類変更の取扱いをしたものにあっては、変更前の指定券について、変更の取扱いをした時刻を払いもどしの請求をした時刻とみなして手数料を支払うものとする。(後略)
つまり
キャンセルしたいきっぷが自由席券の場合は、
博多→博多南間の特定特急券に変更。この場合100円で済みます。
キャンセルしたいきっぷが指定席券の場合は、
1ヶ月先の、みえ号の指定席券に変更し、後日キャンセルを申し出る。この場合330円か340円で済みます。
以上が一番安く済む方法です。
もしも、同時に変更後の区間の乗車券を買うことを求められた場合は、有効日まで1ヶ月あるので、後日好きな区間の乗車券に変更してしまえば大丈夫です。
払いもどしできないきっぷもあります
今まで説明したことは、駅で直接買った定価の特急券についてのことです。
旅行会社で旅行商品の一部として購入したきっぷについては、駅では払いもどしや変更ができません。これについては旅行商品の説明書きをよく読んで下さい。
金券ショップで購入したきっぷは駅で払いもどしできないことがほとんどです。新幹線回数券の払いもどしには表紙を含む全券片が必要です。
また、JRの発売している割引きっぷなどでも、払いもどしや変更に制限がある場合があります。不明点は駅係員に確認を取ってください。
JR東日本などで発売している「えきねっとトクだ値」については以下の記事で詳しく説明しています。
発車6分前までならセーフ!トクだ値で乗り遅れそうなときは
2時間以上遅れた場合は払いもどしされる
新幹線や特急列車が2時間以上遅れた場合は、無手数料で特急料金を払いもどしてもらえます。運行不能になった場合も同じ扱いです。
この場合は特急券に遅延した証明のスタンプを押してもらい、後日払いもどしの手続きをします。当日は駅が大混雑していますので、その場での払いもどしは避けたほうが良いでしょう。払いもどしの権利は1年間有効です。
新幹線の場合は自動改札で出場するときに、遅延の印字がされて戻ってくることがあります。
乗り継ぎとなる列車が遅れたり運転を見合わせたために、乗り継げなくなった場合も、特急料金の払いもどしを受けることができます。
ちなみに乗車券については、2時間以上遅れた場合でも、すでに乗車した区間については払い戻しできません。
飛行機やバスが遅れたためにJRに乗り遅れた場合は自己都合での乗り遅れ扱いとなりますので、救済措置はありません。
参考 事故などの場合の取扱いきっぷのルール:JRおでかけネット 特急列車が途中駅で運転を取りやめた場合は、特急料金は全額払い戻しとなります。ただ、東京都内の一部では例外となる区間があります。わかりにくい!途中駅で運転中止、特急料金払いもどしは全額か
乗車券は別です
この記事では特急券の払いもどしについて説明しました。乗車券も同時に払いもどす場合は、乗車券の払いもどし手数料もかかります。乗車券の払いもどし手数料は1枚あたり220円です。
乗車券と特急券が1枚のきっぷに印刷されているものについても、それぞれの払いもどし手数料がかかります。
まとめ
旅行を中止したり、急遽計画を変更するときは焦ってしまいがちです。
まずは乗車変更で対応できないかを検討し、ダメなら払いもどしをしてもらいましょう。
指定席の場合は2日前を境に手数料が変わりますのでそのことを念頭に入れておくと良いでしょう。
参考 きっぷの払いもどし 使用開始前きっぷのルール:JRおでかけネット 参考 きっぷの変更 使用開始前きっぷのルール:JRおでかけネット