あんな
たかく
JRのきっぷの規則は難しい言葉が使わてていたりして、初心者にはとっつきにくいところがあります。
「相互発着」という言葉の意味がわからないという人もいるのではないでしょうか。この言葉は専門用語でよく意味がわからない割に、説明無しで使われる事が多いです。
簡単に言うと、相互発着というのは、乗る駅も降りる駅もその区間内、という意味です。
相互発着という言葉が使われているかどうかで、意味が大きく変わってしまうので、詳しく説明します。
もくじ
青春18きっぷの特急特例
青春18きっぷには特例がたくさんあり、説明をすべて読むだけで一苦労です。
その中に、特急列車に乗れる区間がいくつかあることを示す文があります。
この特例には、相互発着を条件とするものと、相互発着を条件としないものがあります。
相互発着を条件とするもの
参考 青春18きっぷJR北海道のおトクなきっぷ石勝線の「新得~新夕張」間内相互発着及び奥羽本線の「新青森・青森」間相互発着に限り、特例として「青春18きっぷ」のみで特急・急行列車の普通車自由席が利用できます。
この文章では、新得~新夕張間と新青森~青森間で特急列車に乗れるということを示しています。ただ、「相互発着に限り」というところが引っかかります。
この文言が入っているということは、ここで示された区間内の駅から乗って、区間内の駅で降りなければだめですよ、ということになります。
特例区間をはみ出す場合は、相互発着にならないので、全区間の特急料金と運賃が必要になります。
新夕張~新得間の特急料金不要特例を利用する場合は、新夕張と新得で一旦下車し、別の列車に乗り換える必要があります。
相互発着を条件としないもの
参考 青春18きっぷJR北海道のおトクなきっぷ宮崎空港線の「宮崎~宮崎空港」間および佐世保線の「早岐~佐世保」間に限り、特急・急行列車の普通車自由席が利用できます。
この文章では、相互発着と書いてありません。
つまり、乗り降りする駅は限定せずに、この特例が有効だということです。
特例区間をはみ出す場合でも、特例区間内の料金は不要です。
先の例とは違って、宮崎で一旦下車しなくても、宮崎空港~宮崎間の料金は不要です。
使える?使えない?青春18きっぷで乗れる列車の基本北海道&東日本パスの新幹線特例
北海道&東日本パス(北東パス)は、青春18きっぷと同様に、特急や新幹線に使うことはできません。
ただし、北海道新幹線には、特定特急券を買えば北東パスで乗車できる特例があります。
参考 北海道&東日本パスJR北海道のおトクなきっぷ新函館北斗~新青森間内相互発着の場合に限り、別に特定特急券をお買い求めいただければ北海道新幹線の普通車の立席(空いている席)がご利用になれます。
この特例には、相互発着の場合に限り、という条件があります。これは、乗る駅も降りる駅もこの区間に含まれる場合に限って認められる、ということです。
ですので、たとえば盛岡から乗って新函館北斗で降りる、というような使い方はできない、ということです。この特例を利用する場合は、新青森で一旦改札口を出て、別の列車に乗り換える必要があります。
北海道&東日本パスって何?18きっぷとはどう違うの?大都市近郊区間
大都市近郊区間という制度があります。これは、迂回乗車などができる代わりに途中下車が一切不可になるという制度です。
大都市近郊区間の特例は相互発着に限って適用になります。これを利用するには、乗る駅も降りる駅も、大都市近郊区間内である必要があります。
大都市近郊区間の特例が適用になると
- 距離にかかわらず、片道乗車券の有効期間が1日となる(旅客営業規則 第154条1項1号イ)
- 距離にかかわらず、途中下車が一切不可(旅客営業規則 第156条2号)
- 乗車券に記載された経路以外を乗車することができる(旅客営業規則 第157条2項)
- 乗越精算が必ず発駅計算になる(旅客営業規則 第249条2項1号ロ(イ))
大都市近郊区間が適用されないと
- 片道乗車券の有効期間は距離に応じて決まる(旅客営業規則 第154条1項1号イ)
- 101キロ以上の乗車券は途中下車ができる(旅客営業規則 第156条)
- 原則として、乗車券に記載された経路以外は乗れない(旅客営業規則 第147条1項)
- 原券が101キロ以上の乗車券の乗越精算は着駅計算になる(旅客営業規則 第249条2項1号ロ(イ))
利用者として知っておきたいのは、特に3です。この特例は「選択乗車」といって、きっぷ記載事項にかかわらず、乗車経路を自由に選べるという制度です。これがあるおかげで、東京から新宿に行くのに中央線を使っても山手線を使っても構わないということになります。
逆に、2によって、途中下車ができなくなるというデメリットがありますので、これも要注意です。
これらの特例が適用になるのには、すべて大都市近郊区間内「相互発着」という条件があります。
これは、乗る駅も、降りる駅も、途中で通る経路も、すべてが大都市近郊区間の中にある必要があるということです。
大都市近郊区間を一駅でもはみ出た場合は全区間適用になりません。
参考 大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例JR東日本発駅計算というのは、実際に乗車した区間の運賃と、すでに支払い済みの運賃を比較して、不足額を徴収する計算方法です。
着駅計算というのは、原券の着駅から下車駅までの運賃を別途徴収する計算方法です。
前者は、最初から正規の乗車券を買った場合と全く同じ支払額になりますが、後者は必ずしも同額になるとは限りません。多くの場合は後で精算したほうが割高になりますが、まれに後から精算のほうが安くなる場合もあります。
新幹線が絡むとややこしい
ただ、新幹線が絡むとすこし厄介です。
新幹線は基本的に大都市近郊区間に含みません。なので、一区間でも新幹線に乗る区間がある乗車券は大都市近郊区間内相互発着にはなりません。
たとえば、東京→宇都宮の乗車券は、在来線経由で買うと大都市近郊区間相互発着になり、新幹線経由で買うと大都市近郊区間内相互発着にはなりません。
ただ、この2つの経路は同一の線路とみなす特例があるので、実際にはどちらの乗車券を買っても、新幹線にも在来線にも使うことができます(当たり前ですが、特急券は別途必要です)。
さきほど、途中で通る経路も、すべてが大都市近郊区間の中にある必要がある、と言いましたが、在来線の乗車券で新幹線に乗る場合は例外となります。なぜかというと、上記の3の特例を利用するわけではないからです。
ですので、在来線と新幹線が並行している場合で、在来線が全区間大都市近郊区間に含まれる区間を101キロ以上乗車する場合は
- 在来線経由の乗車券を買うと、途中下車が不可、迂回乗車が可能
- 新幹線経由の乗車券を買うと、途中下車が可能、迂回乗車が不可
となり、どちらの乗車券でも新幹線にも在来線にも乗ることができます(ただし、迂回乗車中に新幹線に乗ることはできません)。
かなりややこしいですが、こういう決まりになっています。
別の意味:ホームの使い方
ちなみに、「相互発着」という言葉にはもう一つ別の意味があります。
上記で説明したのとは全く関係ない意味で、駅のホームを交互に使うということをあらわします。
普通に見かけることはあまりないと思いますが、鉄道趣味雑誌や専門書などで使われることがあります。一般の旅行者は知らなくてもいい言葉です。
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大都市近郊区間内の選択乗車について、詳しくは以下の記事の後半を参照してください。
時刻表にも載っていない特例!選択乗車を理解する